翻訳コーディネーターのぶっちゃげたハナシ

翻訳コーディネーターの視点から、翻訳業界の関係者に届けるリアルボイス。

これからの時代、安い翻訳者ほど淘汰されると思う

こんにゃくです。 

先週、クライアントから値下げ要求をいただいてしまいました。

業界全体として、単価値下げの進行具合が止まりません。

 

とはいえ、「安いけど頑張ります!」というのは誰もハッピーになりません。

「安くすることは可能です。ただその分、品質低下リスクも検討してくださいね。」と翻訳会社はきちんと主張をし、合意をとるべきでしょう。

安いなら安い、高いなら高いで、それに見合ったサービスに整えていくことが、翻訳会社のあるべき姿です。

 

ただ...悲しいことに、単価値下げ額を、そのままフリーランス翻訳者に支払う金額に転嫁するケースをよく耳にします。

確かに翻訳会社としては、もっとも簡単な方法かもしれません。外注費が安くなるならそれに越したことはありませんから。

ただ、フリーランスの翻訳者さん達が食えなくなっていって廃業してしまったら、結果的に翻訳会社の首を絞めていきますよ。もう少し業界の未来を考えるべきでしょう。

 

敢えて私は、フリーランスの翻訳者さんたちに、安易な単価値下げをしないで欲しいとこのブログから伝えたいです。

 

少しリアルな話をします。

実際のところ、ある程度の規模のある翻訳会社は、安い仕事をそれ相応に「かわす」術を持っていて、それ相応の方法で処理しているという話です。

 

サービスレベルを落とす方法として、メジャーどころは以下3つ。

 

方法1:プロセスを省略する

一次翻訳のみでチェック(レビュー)無しとかですね。対象文書にあった適正な翻訳者さんをアサインできていれば、品質が大崩れすることはないでしょう。ただ、どんなに優秀な翻訳者さんでもヒヤッとするようなミスはあるもの。それをカバーするためのプロセスが抜けた状態で納品するのは、翻訳会社としてはいたたまれないものがあります。

 

方法2:インドやフィリピンに発注する

日→英翻訳での話です。英語が浸透している新興国発の翻訳会社が台頭し、日本の翻訳業界に売り込みをかけています。使えない品質レベルと言われ続けていましたが、少しずつ進歩はしているようです。ご想像の通り、単価は非常に安いです。そういった会社とパートナー契約しておいて、横流しする(いわゆる孫請けを作る)という方法もなくはないです。

 

方法3:機械翻訳を取り入れる

機械翻訳のかけっぱなし、もしくは機械翻訳後に人間がチェック(ポストエディット)する等です。ただ、機械翻訳といっても、使用するエンジンによって結果が異なるので、それら特性を熟知していて、選択ができ、根拠の説明ができる翻訳会社でなければサービス化は厳しいとは思います。ただ、機械翻訳最大のメリットは工期の短縮ですから、納期優先の依頼が多い場合には検討の余地があります。 

 

 

フリーランス翻訳者さん向けに言い換えれば、安かろう悪かろうタイプのフリーランス翻訳者は逆に居場所がありませんよ、そういう仕事から海外や機械に奪われていきますよ、ということになります。

 

多少高いお金を払ってでも、本気の翻訳サービスを望むクライアントというのは、これからも一定数残るということに間違いはありません。

プロの実力を発揮するべきお仕事というのは絶対にこれからもあります。

 

そういったお仕事でまたお会いしましょう。コーディネータも頑張っていきます!