翻訳コーディネーターのぶっちゃげたハナシ

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続 ・ いま、需要のあるフリーランス翻訳者の仕事とは?

こんにゃくです。

前記事で、需要のある翻訳仕事は、チェック(レビュー)作業をフリーランス訳者として受けることだと書きました。 

honyakuinside.hatenablog.com

 

この言葉自体に間違いはありません。絶対に仕事があります。

 

ただ、そうは言っても、この需要数に対して、なぜ未だに供給数が少ないのでしょうか・・・??

立ちふさがるハードルを大きく4つまとめてみました。

  

ハードル1:翻訳チェックをやりたがる翻訳者の数が少ない

まず、物理的にこれです。

「自分で翻訳をつくるところに楽しみがある」、「他人が訳したものはさわれない」、「自分流に訳し直したくなってしまい手間がかかりすぎる」...理由はいろいろあるでしょうが、どの意見も理解ができるものです。

いくら需要があるといっても、モチベーション低いままに作業したところで、良いものができるはずありません。

 

ハードル2:翻訳チェックは難しい

翻訳チェックをやりたいと志願してくださっても、能力がなければお願いすることはできません。

実際のところ、「翻訳できる能力」と「翻訳チェックできる能力」は似て非なるもの。

“多少の訳の不自然さには目をつぶりつつ、クリティカルなミスを確実につぶす”、そんな仕事が求められます。(もちろん案件によって様々だとは思いますが。)

これに徹底し、しかも確実な精度で! というのは、やっぱり難しいですよ。

翻訳者としては最高評価を持っていても、チェッカーをやってみたらダメダメだったというのは、ありがちなパターンのひとつです。それだけの訓練と資質が必要になる作業です。

 

ハードル3:単価設定の難しさ

翻訳単価の1/2あたりで設定されることが多いようですが、これって妥当な数字なんでしょうか?

翻訳速度の二倍速で進行できれば金額的な問題は無いのですが、どれくらい手直しをしないといけないかは、一次翻訳の品質次第で変動しませんか?

運ゲー的な要素が強すぎるのです。場合によっては全く儲かりません。

予算をなるべく固定で検討できるようにしたい翻訳会社側と、実稼働に応じて請求できるようにしたい翻訳者側と、折り合いがつく形で決着できればよいのですが。。。

 

ハードル4:社内翻訳チェックは大々的に外注化できない

翻訳会社にとって、翻訳チェックを外注化することは、少なからず抵抗があります。

なぜなら翻訳会社は、社内で翻訳チェックを行いつつ、一次翻訳の評価も同時に行っているからです。

評価を正しく行うことによって、クライアント要求との整合性を確かめたり、翻訳者さんにフィードバックをしたり、ほかの案件での活躍を模索してみたりが可能になります。

機密の情報を扱うことも当然出てきますので、フリーランスの方にこの評価作業までお願いするわけにはいきません。

全数の翻訳チェックを社内完結する必要はないにせよ、翻訳チェックの社外移管はできて半数以下程度でしょう。

 

 

需要があるといった手前、困難なことばかりを書いてしまって申し訳ないです。だからこそ翻訳会社にとってはジレンマなんですけどね。

ただ、これらを乗り越えられて自信もあるという方は、翻訳会社に一報入れてみてください。(特に、社内翻訳チェッカーの経験があるという方は歓迎されるはずです。)

何度かうまくいった実績がつくれれば、そうそう切れることのない太い関係性が構築できることは間違いありません。

本当に欲しい人材なので、翻訳会社側もそれなりに柔軟な対応をしてくれるでしょう。