翻訳コーディネーターのぶっちゃげたハナシ

翻訳コーディネーターの視点から、翻訳業界の関係者に届けるリアルボイス。

現役翻訳コーディネーターへ「ディープな」7の質問

こんにゃくです。

前記事について、質問内容があっさりめでしたね・・・。

honyakuinside.hatenablog.com

 

今回は「ディープな」内容に突っ込んでいきます!

追加で7つの質問いってみましょう。 

 

1. 翻訳コーディネーターって忙しいの?

仕事量や仕事時間という意味では、他職と比べてそこまで多いとは感じません。

ただ、マルチタスクであることは確かです。

ソースクライアントと相談しながら、翻訳者とも話を詰めつつ・・・を複数プロジェクトで並行進行。加えて、言語ペアも日⇔英だけとは限らないですからね。

 

 

2. 残業は多いの?

シーズンによります。

ハイシーズンは月40~50時間残業を超えてきます。正直な数字です。

例えば、マニュアル翻訳を担当している場合、その製品リリースの時期(その会社の期末に連動することが多いようですね)の直前には依頼が立て込みます。

どれだけ自分の力量が上がっても、事前に予定が見えていたとしても、翻訳が受注型産業である以上、仕事量コントロールに越えられない壁があります。

会社としては書き入れ時ですから、この機会を逃せません。組織で働く人間として覚悟せざるを得ない場面です。 

ただ、ハイシーズン外は、あんまり残業してないです。

周りもうまく働いている方が多い気がします。(もちろんだらだら働く社員はどの職場にもいますが。)

常態的に残業が多い場合は、その会社の体質が悪いか、コーディネーター個人の管理能力が低いかのどちらかです。

ここ5年くらい、大手の翻訳会社、または小さくても先進的な翻訳会社は、社内工数の削減にすごく力を入れているように感じます。働き方改革ってやつでしょうか。とてもいい流れだと思っています。

逆にいわゆる「昔ながらの翻訳会社」的なところは、どんどん置いてけぼりをくらっている印象があります。こういうところはやっぱり残業多いんでしょうか。

 

3. これまでで一番しんどかったことは? 

コーディネーター2年目すぐくらいの時でしょうか。

・クライアントから真っ赤になったフィードバックが返ってきて何度もやり直しをさせられた。

・理不尽な内容も多いままに翻訳者さんにそのまま返したら、電話でキレられた。

・一人で抱え込んでしまった。

・自分で訳文修正に取りかかり出し、深夜まで残業をしまくった。

・そのクライアントとの取引はなくなった。

当時の私に会えるなら、10時間くらい説教します。すべての行動において突っ込みどころ満載です。とりあえず先輩に相談しろやと・・・。

こんな新人コーディネーターが二度と現れないようにしないといけません。

でもとにかく当時は死にそうでした。

 

 4. 語学力はどれくらい

新卒入社でも、中途入社でも、面接前に簡単な英語試験がありましたが、それをクリアしていれば、会社としては特に問題無いようでした。

随分と前に受けたTOEICは700点後半でした。今はもうちょっと高いと信じたい。

主に読み書き系スキルの向上が、仕事に直結します。転職の2社め以降、技術文系の翻訳を扱うことがメインになってきたので、工業英検とかほんやく検定とかの資格取得を通じ、少しずつ勉強を続けています。

職務上、自身が翻訳することは確かに無いのですが、それなりの翻訳技能や知識がないと、クライアントや翻訳者さんとまともに話ができなくなってしまいます。

 

5. 職場にはどんな人が多いの?

会社にもよるかもしれませんが、業界としてはおとなしい方が多い印象です。ただ、頭ごなしに怒られたりとか否定されたりとかはないので、仕事はやりやすいです。

少し気になるのは、職人気質が悪い方向に作用して、ビジネス下手な部分が露呈しているところ。これまで経験した会社に共通して感じる部分です。

業界全体としての縮小傾向・単価のダウン傾向は、業界全体の主体性の無さというか、クライアントの言いなりになりすぎた部分というかが、少なからずあると思います。

 

6. ぶっちゃげ、給料どうよ?

 この業界は、めちゃくちゃ悪くはないですが、高くもないです。具体的な金額は転職サイトなんかを見てください。

満足しているとは言えません。特に翻訳者として働いている方に対しては、その知的労働に見合う対価にはなっていないんじゃないかなぁと・・・。

利益=(ソースクライアントからもらうお金)-(翻訳者さんに支払うお金)

かなりざっくりしてますが、こんなビジネスモデルです。

クライアントがついてコツコツやっていけば赤字にはならないのですが、特大ホームランを打つようなチャンスはないということです。

しかも一つ一つの仕事にそれなりの人力コストがかかりますらね。スケールメリットを得てライン製造的に処理したり、雪だるま式に何かが儲かったり、そういう美味いモデルにもなりにくいのが辛いところです。

 

 7.やりがいあるの?

どんな職業でもそうかもしれませんが、何か自分がスキルアップしていると感じられると楽しくなります。中堅にさしかかりますが、今でも変えられることがたくさんあるのだと、まだまだ頑張っています。